ご自分の家族について、ステキだと思うところを教えてください。どなたのことでもいいです。

うちの人たちはだれもかれもがステキなのですが、
中でも父がステキなので父の話をします。


◆父はよく「やあ。おとうさんだよ」と言います。
それを聞いて私たち(私や母や妹)は、
「ええっ知らなかった!」あるいは「そうですね、残念ながら」と答えます。
答える頃には、父はもう別のことに夢中で、こっちの話は聞いちゃいません。


◆父はよく「○○ー、愛してるよー」と言います。
○○の部分には、母・窪橋・妹の名前などが入ります。
ただ、「窪橋ー、愛してるよー」と妹に向かって言ったりするので、信用なりません。
ハムスターを飼っていたときは、ハムスターに向かって「窪橋ー、愛してるよー」と言ったこともあります。


◆父は、お前のものは俺のもの、をナチュラルに実行します。
以前、私が大事にとっておいたアイスを、父に食べられてしまったことがあります。
父に取られないように、大きく「窪橋」と名前を書いておいたにもかかわらずです。
父は「やあ、気がつかなかった。ごめんね」と悪びれずに笑いました。
母は「お父さんが名前なんて気がつくわけないでしょう。取っておいた窪橋が悪い」と私を窘めました。
父は、たとえ自分のものが取られたとしても、この調子でニコニコしています。
そういう意味では筋が通っています。
ただ、父が毎日楽しみにしている数独パズルの日めくりカレンダーを勝手に解くと、
ちょっぴり悲しそうな顔をします。


◆父は人の話を「うん、うん」とニコニコしながら黙って聞きます。無口な人です。
しかし何を言われても自分の思ったとおりに動く頑固親父です。
私が入院したとき、私も母も「仕事帰りの見舞いは疲れちゃうよ、来なくていいよ」と父に伝えました。
父は「うん、来ないよ」と口では答えつつ、結局ほぼ毎日顔を出しにきました。
父は、見舞いに来ると、「おう、来たよー」と言いながら椅子に腰掛けます。
そして私の体調報告をニコニコ聞きます。
私の話が一区切りつくと、「じゃあ、帰りまーす」と席を立ちます。
その間、たったの10分。
来なくてもいいのになあ、と私は思ったものでした。
なぜなら、その日の昼には母が同じように病院を訪れ、
同じように私の話を一通り聞いており、
家に帰れば母が妹に向かってそのまま伝えるのを、父は横で聞くことになるだろうからです。


◆父はよく寝ます。
すごくよく寝ます。
昼寝するときには、寝室で寝ればいいのに、みんながテレビを見ている居間で寝ます。
おかげで妹も私も、昼寝は居間でするものと刷り込まれて育ちました。


◆私の性格は父によく似ているそうです。
母と妹が言うのだから間違いない。不本意です。


父のステキな話はもっとたくさんあるのですが、この辺で。
さいごに、私の過去のブログ記事で、父のステキさに触れているものを挙げておきます。


初蚊の日2010 http://d.hatena.ne.jp/kubohashi/20100424/p1
間違い電話 http://d.hatena.ne.jp/kubohashi/20110315/p1
豆大福 http://d.hatena.ne.jp/kubohashi/20110716/p1


初出 2011-09-26 00:31:41
ブックマーク http://b.hatena.ne.jp/entry/theinterviews.jp/kubohashi/1742939