サンタクロースとクリスマスの本リスト、大人向け。

前回の
サンタさんの本、大人向け。/「サンタクロースの秘密」クロード・レヴィ=ストロース,中沢新一
に引き続き、またサンタ話です。
サンタクロース関連本を並べていこうと思います。
どんだけ好きなんだサンタ。
好きだから調べてるのに調べれば調べるほどわけわかんないよサンタ。
わけわかんないけど面白いよサンタ。


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サンタクロースの大旅行 (岩波新書)

サンタクロースの大旅行 (岩波新書)

サンタクロースの歴史を追っかけていったら世界を股にかける大旅行になっちゃった! というこの本。帯の文は妙にキャッチーですが、中身はこしあんのようにどっしりしています。サンタクロース文化を、幅広く、かつ丁寧にまとめてある本です。サンタクロース信仰の元になった伝統行事や、サンタクロースがアメリカで発生した経緯などを、たくさんの資料を使って説明しています。なまはげとの比較が面白い。


サンタクロースを基盤にした観光開発事業や、それによる先住民族問題・国際政治問題にも切り込んでいるサンタ本は珍しいです。おすすめ。とても興味深い本で、この本だけでも記事を一本書きたかったんですけども、書いていたらクリスマス過ぎちゃうヨー。ぼくもう疲れたヨー(ルーベンスの絵を見上げながら)。



ところで。
この本では、サンタクロースのふるさととして周知され、経済効果を上げている地域として、ラップランドフィンランドを取り上げているのですが、デンマークグリーンランドも、同じように有名なところです。


グリーンランドでは「グリーンランド国際サンタクロース協会wikipedia)」を設立していて、独自に公認サンタクロースを選出。毎年世界サンタクロース会議を開催しています。(この協会にフィンランド人は全く参加していないあたりに、政治的なもにょもにょを感じます。)
日本ではただ一人、パラダイス山元さん*1公認サンタクロースに選ばれていて、「本来のクリスマスの祝い方」の周知活動や慈善活動をされています。


公式サイト

関連書籍

読んでみました。が、わたしは正直、違和感がぬぐえませんでした。ここで「公式」「本来のクリスマス」とされているクリスマスの過ごし方は、北欧の一地方に特化したものに思えます。それだけ日本でも地方色が現れているのだなぁと、違和感を覚えた自分に逆に驚いたので、とりあえず、の、ご紹介。


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クリスマスの文化史

クリスマスの文化史

こちらはドイツ専門の方が書いたクリスマス史。

日本ではあまり知られていないドイツ起源のクリスマスの習慣や行事を中心に、どなたにもわかっていただけるような形でまとめたもの  (「はじめに」より)

という通り、ドイツ史の中で発展してきたクリスマス文化を見ることができます。
カトリックプロテスタントの変遷、特に、ルターの宗教改革やハプスブルグ家と関わりについての解説が詳しいです。クリスマスツリーや「きよしこのよる」の起源についての解説も充実。


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クリスマス―どうやって日本に定着したか

クリスマス―どうやって日本に定着したか

売ってません。
絶版しているわけじゃない。けど、品切れ中。
なんでだ……角川書店さん早く再版かけて!!
図書館で読んでどうしても手に入れたくなって、本屋さん走り回ったけどありませんでした。再版が待ちきれずにアマゾンで定価の1.5倍で買った数日後、ブックオフオンラインで安売りしているのを見つけたわたしは、たぶん負け組。泣かないもん。良い本だからいいんだもん。


カバーの折り込み部分の紹介文には、
「ドイツという『キリスト教国』から来た著者が、キリスト教徒でもない多くの日本人がクリスマスにエキサイトする姿に驚き、その理由を探ろうと文献を博捜してまとめた、初めての日本におけるクリスマス通史。」
とあります。
ドイツ人日本思想史教授による、日本クリスマス文化史です。


この本の全体に通底しているのは、日本人たちが思っているよりも日本のクリスマス文化が複雑で多様であることを伝えたい、単なる商業主義の祭りであるという誤解を解きたい、という著者の意志です。

クリスマスはよく「土着化」という概念で「習俗行事」のレベル、すなわち信仰から離れた行事として重視される。それは当然ひとつの面であるが、しかし欧米などと同様、日本のクリスマスも、「習俗」(習慣・風俗・生活様式)の視座だけではなく、宗教・芸術・学術・教育・経済などの視野から複眼的に理解してみなければならない包括的な文化現象である(p.208)

キリシタン武士が祝ったクリスマス、明治時代における上流階級の社交としてのクリスマス、戦前から庶民に広がっていったクリスマスなどなどを、豊富な事例で追いかけていきます。発行は平成11年ですから、つい最近までの動きがぎっちり、しっかり。
類書もなさそうなので(今のところわたしは見たことない)、ぜひ再版を…角川さん……!


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サンタクロース学 (NATSUME哲学の学校)

サンタクロース学 (NATSUME哲学の学校)

題名から想像する内容と実際とは乖離があるのでご注意下さい、と言うために、ご紹介。
前半3分の1がサンタクロースの文化的考察、後半がサンタクロースを扱った絵本や児童文学のレヴュー集なのです、が。私が読んだ限りでは、まっとうな文化論を求めているなら、他の本を読むほうがよいと思いました。


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さいごに、絵本を2冊。
「で、サンタっているの? ねえいるの?」というお子さん対策に。(なるのか?)


サンタクロースっているんでしょうか?

サンタクロースっているんでしょうか?

この本の詳細はこちらを。→サンタクロースは実在するのか - wikipedia

そうです、バージニア。サンタクロースがいるというのは、けっしてうそではありません。この世の中に、愛や、人へのおもいやりや、まごころがあるのとおなじように、サンタクロースもたしかにいるのです。

無償の愛こうげきー!!!
この本は子供のために書かれたものですが、わたし個人の感想としては、「サンタを信じている子供がいると信じたい大人」のために書かれたように思います。



サンタクロースってほんとにいるの? (かがくのとも絵本)

サンタクロースってほんとにいるの? (かがくのとも絵本)

サンタの存在に疑問を持つ子供と、信じさせようとする親の問答集。
親御さんたちにとっては模範回答集として使えると思います。
しかも、「かがくのとも」シリーズ! かがくで、いいのか!?


いるよいるいる、と、無表情を取り繕って答えている大人の顔がたまらない絵本です。
上島メソッド*2というか、ナウシカメソッド*3というか。
この本を読んでわかるようになったら、サンタはもう卒業なんだろうなぁ……。

サンタなんて いないって
みんな いってるよ!
あれは…


いるとも
ほんとだよ

*1:私の中では、この方は、タモリ倶楽部でマンボを踊りながら餃子を作る人です。

*2:押すなよ! 絶対押すなよ!

*3:なにもいないわ! なにもいないったら!