【旅日記】オールドマーケットでおかいもの (1)


【目次】
→【旅日記】オールド・マーケットでおかいもの(1) (2) (3) (4)


タカハシは買い物を楽しむのが上手だ。スペックを比較し、店員から情報を引き出し、可能であれば価格交渉。その一連の作業が面白いのだという。
私はといえば、買い物というより交渉全般が大の苦手。買い物は好きなのだけど、店員さんと上手に会話できない。妙に緊張して挙動不審になって、つられて店員さんも身構える。すこぶる楽しくない。
ああタカハシが羨ましい。いいなあタカハシは楽しそうで。


これはそんなお買い物のおはなし。




お箸と箸袋のセット



シェムリアップの土産物屋や雑貨屋には、定価が決まっているお店とそうじゃないお店がある。
定価が決まっているのはホテルや空港、コンビニ、ショッピングモールのお店。他にも、ハイクオリティなお店はたいてい定価が設定してあって、「これいくら?」というストレスがなくお買い物ができる。品質もいい。ただ、この国の物価にしては高い。
市街のマーケットや遺跡の前の露店で売っているお土産物は、お店の人との話し合いで価格が決まる。私たちが「払ってもいい」と思える額と売り手が「売ってもいい」と思える額を、交渉で探っていくのだ。


基本ルールはこうだ。


単位は1ドル。このシャツは1枚3ドル、あの小物入れは2個で5ドル、という具合に提示されるので、10枚買うから○ドルにしてくれ、とか、あれを2個付けて○ドルではどうか、などと話を進めていく。値引きの結果端数が出たら、リエル札でおつりが来る。相場は1ドル=4000リエル(2008年現在)。
まとめ買いするほど安くなる。
シェムリアップの市街から遠い遺跡の露店ほど安くなる。


客がどこの国の人かによって、向こうの提示額が違う(※補足参照)。日本人はオカネモチだから、最初の提示額は他の国の人に比べて高い。英語使いならもうちょっと安めな価格からスタート。クメール語なら最初からかなり安いらしい、けど、皆さん英語も日本語もペラペラだから試してみる余裕は無かったよ。「オネェサーンこれシルクね、いちまい3ドール、みて、きれいよ、これピンク、これ白、これ…」って突然大プッシュしてくる売り子さん相手に、付け焼刃の「トライ・ポンマーン」(おいくらですか)なんて全然歯が立たないわいな。経験値がちがう。

 
お土産物のレパートリーはマーケットや露店の土産物屋ならどの店もほとんど変わらないから、たくさん買うつもりだったら、自分の欲しい品物が揃っているお店を選んでまとめ買いで安くしてもらうのがいい。あと、表情が優しい売り子さんを選ぶ。これ重要。
ここではモノの価格はあって無いようなものだから、自分の金銭感覚と良心を頼りに、品物に見合う金額だと自分が納得できる金額で、買い物をすればいい。


説明はここまでだ。ここのルールは把握できたかい?あとは実践だ。
さあ、ショッピングを楽しもう!


……って、できるかーい。



続き



補足


「外国人価格」を設定するのはシェムリアップでは珍しくないようで、土産物屋だけじゃなくコンビニも飲食店も博物館も、国籍によって価格が違うことはままあった。持てる人は相応の金を出すべし、ということだろう。
現地の多くのカンボジア人と観光客との間にあるどでかい経済格差が、こういう事例に端的に顕れているように思う。


とはいえ、行き過ぎたボッタクリも、もちろん、ある。私たちのようにツアーに参加しないで動く旅行者は絶好の標的でした。観光客がよく行く場所にしか行かないように気をつけて、常に用心深く行動していれば、身の危険は無いとは思います。(お金を多めに巻き上げられるくらいで済む、という意味で。)


けど、警戒し続けるのはかなり疲れました。心労で楽しめなくなっちゃあ困ります。私が両親と一緒に行くことがあるならその時は安心を優先し、信頼の置ける旅行会社のツアーやガイドを最大限に利用することになるでしょう。


悪徳な同業者の姿に眉を顰める良心的な人も、もちろんたくさんいらっしゃいます。幸運なことに私たちは彼らに守ってもらって楽しい旅ができましたが、彼らの気遣いの仕方から、嫌な目に会う日本人観光客が少なくないことにも気づかされました。
どうか皆様お気をつけて、よい旅を。