【旅日記】あっくんの名前、あるいはクメール人男性の呼び名について


【目次】


あっくんは、トゥクトゥクの運転手で、歳は私のひとつ上。タカハシのひとつ下。いや、カンボジアは数え年で歳を数えるらしいから、もしかしたら私と同い年かもしれない。
自己紹介のときに教えてくれた呼び名が「あ」から始まっていたので、私たちはこっそり「あっくん」とあだ名をつけた。


クメール語では、名前の前に「あ」をつけると、親しい男性の呼び名になるらしい。日本語で言うところの「〜ちゃん」のようなものか。
だから、「あっ」「くん」って呼び名は、本当はおかしい。
すっごくおかしい。
んだけども、彼の人懐っこい雰囲気と、あっくんって呼び名が妙にぴったり合っているので、ここの文章では、親しみをこめて「あっくん」と呼ばせてもらうことにする。


タカハシは、「あ」について、中国で名前の前に「阿」をつけるのに似ているな、曹操の幼名も「阿」瞞だったしな、と、自分の知識とリンクさせて、一人で喜んでいたようである。で、「あ」は目下の男性にしか使わないっぽい*1ということも感じていたらしく、道中半ばからあっくんを本名で呼んでいた。
私はそんなこと全然気づかずに「あ」付けで呼びまくっちゃったんだけども。…大丈夫だったのかな。


あっくんは片言の英語が使えて、日本語は使えない。
私たちも片言の英語が使えて、クメール語は使えない。
交わした会話は全部、カタコトの英語だった。カタコトの英語で、たくさん喋った。一週間ずっと、彼の運転するトゥクトゥクで、いろんなところを見て回った。あっくんの話をすると、そのまんま全日程の旅行記になっちゃいそうだ。
だから、今回は、この辺でおしまい。



画面右、バイクに跨ってるグラサン兄ちゃんが、あっくん。

関連


蒼天航路(1) (講談社漫画文庫)
蒼天航路(1) (講談社漫画文庫)

阿瞞、だいかつやく。


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「阿Q正伝」魯迅 (青空文庫)

知り合いの中国の方に「阿」の用法を聞いたところ、出てきたのがこの話。「阿Qってそういう意味だったのかぁー」と、今更ながらに知ったのでした。やっぱりクメール語と似ているなぁ。どっちからか伝播したんだろな。中国の中でも地方によって使い方に細かい違いがあるらしいので、今度ちゃんと調べてみようと思います。

*1:正しくは、「年下の男性にしか使わない」でした。あーあ。おいら年上に使っちゃったよ…