フェルトで犬橋モドキを作る


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昨年末に開催された、メレ山学長と素晴らしい講師陣によるステキイベント「昆虫大学」で、ムシ熱だけでなくフェルト熱も煽られた窪橋。
年明けからフェルティングニードルを握りしめたのでした。


なにしろ初めてで何をどう用意したらよいかわからなかったので、下記の2つのキットを購入。


ハマナカ フェルティングニードルスターターセット

ハマナカ フェルティングニードルスターターセット

ハマナカ ラブラドールレトリバー/製作キット

ハマナカ ラブラドールレトリバー/製作キット

この白レトリーバーになるはずの毛玉を、
形を変えてみたり、色を足したり*1して、
できあがったのが犬橋モドキです。


P1098602 PB047873_edited-1犬橋モドキ(左)と犬橋(右)


ワーイなんとなくそれっぽくできたヨー!
犬橋モドキは全体が歪んでいるけどまあ。まあとにかくできた。
しかしニードルにざっくざっく指先刺されて痛い!


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爪と指の間に刺したところが特に痛い!!

*1:茶色(ハマナカウールキャンディ・シュクル#803)を買い足しました

加賀で哲学を齧ってきた。<鈴木大拙館編>

(前回:西田幾多郎記念哲学館編
http://d.hatena.ne.jp/kubohashi/20121030/p1


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鈴木大拙館オフィシャルサイト
http://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/


前回の「西田幾多郎記念哲学館編」で漢字変換できなかった「スズキダイセツ」は「鈴木大拙」と書くんですねえ。ということをgoogle先生にお伺いしてから向かいました、鈴木大拙館。


鈴木大拙は金沢出身の仏教学者です。
その著書の2割が英文で書かれており、日本の仏教思想や禅文化を海外に広く知らしめることに貢献。したそうです(一夜漬け)。


検索語の候補に「鈴木大拙 禅」「鈴木大拙 スティーブ・ジョブス」と出てきたのを見て何となく分かった気になってしまうあたりが検索の恐ろしいところですわいね。
しかしwikipediaの鈴木大拙の項

大拙が没した際、ニュースを読み上げた宿直明けのアナウンサーが、原稿に禅と書いてあるのを蝉と読み違えて「蝉の研究で有名な鈴木大拙氏が亡くなりました。著書には英文による『蝉と日本文化』…」と、誤って読み上げてしまい進退伺いを出すことになった。

と書いてあったので、大いに安堵。
よかった、よく知らないの私だけじゃなかったー。


◇◇◇◇◇


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西田幾多郎記念哲学館が哲学全体を扱っていたのに対し、こちらは鈴木大拙の思索をそのまま表現することにフォーカスした施設になっていました。
展示物に細かい説明なし。
自分で考えて感じろ、とでも言いたげな簡素さ。
私のようなよく知らない人間がポイッと入っても、中を歩いている間に思想を体感できるようなつくりです。


建物は、鈴木大拙の生誕地の近くに位置しています。駐車場が無いのでバスか自転車で行くのがよかろう。今回の旅行で我々が便利に使ったのは、「まちのり」というレンタサイクルのサービスでした。


まちのり
http://www.machi-nori.jp/


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ポートと呼ばれる自転車置き場(上記写真は兼六園のもの)が市内に点在していて、一度手続きをすればポートのどこでも自転車を借りたり返したりできるサービスです。利用料は1日200円。
30分以上連続して乗ると追加料金が発生しますが、30分以内に返してまた借りて、を繰り返せば、200円だけで乗り放題! 金沢市内の観光地は密集していて、30分以内に次のスポットに辿り着けるので、延長することはありませんでした。
車体はちょっと重いけど、ギア付きで坂道もらくちん。
タイヤの空気が入っている車体を選んで借りるとより幸せです。


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自転車のカゴに付いている地図がわかりやすくて大活躍でした。
(こちらでpdfをダウンロードできます→http://www.machi-nori.jp/pdf.html


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鈴木大拙館の最寄りのまちのりポートは13番になります。本多町のローソン前です。
閑静な住宅街を歩いて、館へ。


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着きましたー。
あれっ。この建物、どこかで見たことがある気がする……。


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(↑参考:東京国立博物館法隆寺宝物館)


似てるー!!


それもそのはず、両方とも谷口吉生氏の設計でした。
法隆寺宝物館の大ファンとしては俺得この上ない展開!


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鈴木大拙館は、「水鏡の庭」と呼ばれる人工池が敷地の半分近くを占めています。
水面に惹かれて、建物に入る前にお庭の方へふらふらと。


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遠くに先客が見える。私もその舳先みたいなところに立ちたい!
しかし順路が書いていないのでどうやったら行けるのか分からない!


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水面に浮かぶような庵。
あそこにも歩いている間に着けるのかしらと思いながら、とりあえず目の前の道を歩き進んで行きます。


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散策路って書いてあるけどこっちでいいのか……? と首を傾げつつ進む。


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入ってみたくなる小路を見つけたのでそのまま入る。
撮っているときには気がついていませんでしたが、標識を見る限り、この時点で私は鈴木大拙館の敷地から出てしまっておりますねえ。


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ずいぶん雰囲気が違うところに出たなー、とは思ったのですが、


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さきほどの先客さんたちに導かれるようにそのままずるずる進みます。道なりに来たはずなのに、さっき先客さんたちがいた舳先的スペースに出られなかった……なぜ……。


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……ここはどこだ。


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鯉がいる。


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川が流れている。


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和風建築が見える。
ここはどこだ!


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庭園の脇に唐突にこんな場所が出てきて大いに困惑。北陸放送……?


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北陸放送??


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ありのまま今起こったことを話すと、鈴木大拙館の前庭を散策していたと思ったらいつの間にか武家屋敷の庭園を歩いていたのでしたフシギー!


狐につままれた気持ちながら、行き止まりのようなのでとりあえず来た道を戻ることに。


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そうしたら行ってみたくなる坂道が目の前に現れたので、せっかくだから、と好奇心の赴くままに昇ってみると、


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なんだか立派な竹林に出て、


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更に進むと小高い盛り土の上に小さなほこらが見えるのでした。
どこだここはー!


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あとで知ったのですが、鈴木大拙館が建てられた際に周辺の小道が整備され、21世紀美術館や中村記念美術館などの周辺施設と行き来しやすくなっているとのこと。
もしもこのまま心の赴くままに道を進んでいたら、鈴木大拙館の中に入ることなく21世紀美術館に行ってしまっていたかもしれない。
幸い、というかなんというか、この日は持ち時間が限られていたため、このあたりで大人しく鈴木大拙館へ引き返して事なきを得ました。あぶなかったー。


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同じ道を戻ってきたつもりだったのですが、さっき辿り着かなかった舳先スペースにあっさり到着。あっれー?
これは私が方向音痴だからなのか、こういうつくりになっているのか。


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腑に落ちないままぼんやりしていたら波立つ水面。


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舳先的なところに立って右を見ると、さっきの庵っぽいところに団体客さんが。
距離があるので声は聞こえず、静かです。


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左を見ると、壁には何やら気になる穴が空いていて、


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奥には何やら気になる黒い石が。気になる……。


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そんなこんなでようやく入り口に戻ってきました。
長々書いてきたのに未だに建物に入っていない!
なんてこった。
ようやく受付を通ります。
私たちが行ったときは西田幾多郎記念哲学館との入館相互優待期間内でしたので、片方のチケットがあれば無料で入館できました。通常の入館料は大人ひとり300円です。


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スタンプがあるので、押します。
なぜならそこにスタンプがあるからです。
四角、三角、丸、は、鈴木大拙の書「△□不異○(色不異空)」によるもの。
(参照: google画像検索


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受付でペーパーファイルを貰います。
B5より一回り小さいかな、という大きさ。


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館内のあちこちに置かれているリーフレットを集めて、このファイルに収めてください、という趣向。リーフレットは英語と日本語の2種類で、鈴木大拙の言葉や展示物の解説が書かれていました。英語圏からのお客さん、多いんだろうなー。
「2012年10月」と表記されているものがあったので、時期ごとに差し替えられたりするのかもしれません。


館内の展示は撮影禁止だったため、写真なし。鈴木大拙の書や写真が置かれた展示空間と、著作と関連書籍をゆっくり座って読める学習空間がありました。
ハイデガーとの日独巨匠ツーショット写真が展示されていたようなのですが、まー見逃した。あっさり見逃してきましたネー。


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中庭の写真は撮ってもいいですよということでしたので、学習空間から遠慮がちに撮影。
さっき謎の穴から見えた謎の黒い石が目の前に。


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黒い石の正体は手水鉢でした。
まるさんかくしかくで構成されているあたりがニクい!


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学習空間を抜けると外部回廊に出ます。
何度も目にした庵っぽい建物がようやく目の前に。


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さっき楽しんだ舳先みたいな場所は池の向こう側に。
どこをどう歩いてきたのか全く把握していませんが、とにかくぐるっと回ってきたのだなあ。


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舳先から見えた波立つ水面、ふたたび。
数分間に一度、池の真ん中からあぶくがあがるようになっているそうです。


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ゆっくり広がる水紋。
この水紋が池の端まで広がりきって消えるまで、次のあぶくは上がってきませんでした。


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真四角の庵の中はこんなふうになっています。
畳が貼られた腰掛けは、座禅が組めるように幅広なつくり。


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天井の高さに、西田幾多郎記念哲学館のホワイエを思い出したり。
案内図には思索空間と書かれていました。
ゆっくりここに座ってリーフレットでも読みなさいよという場所なのでしょう。


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天井の小さな円い天窓を見上げたり、心ゆくまでのんびり座って、外へ。


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めいっぱい楽しませてもらった我々、無料でなんかすみませんという気持ちになったので、受付脇のミュージアムショップでTシャツを購入しました。1枚1500円。
正面に大きく鈴木大拙の書で「それはそれとして…」と書いてあります。
最高。
前回の西田幾多郎Tシャツと併せて、分かる人にしかわからない、分かった人もどう扱っていいか分からないであろう哲学系ペアルックがここに完成した!


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更に受付で周辺地図(http://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/access.html)を頂き、すぐそこに氏の生誕地と記念碑があることを確認。早速向かってみると、徒歩で5分もしないうちに到着しました。


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鈴木先生西田幾多郎先生と雰囲気そっくりだなあ。


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台座には氏の書でシェイクスピアの一節、
"O wonderful, wonderful,
and most wonderful wonderful!
and yet again wonderful"
と書かれています。なんてチャーミングな文字なんだ!
鈴木大拙館にはこの書がプリントされたTシャツも売られており、「それはそれとして」バージョンと大いに迷ったものでした。


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記念碑の向かい側には、私立高校の遊学館が。
星稜高校・金沢高校と肩を並べる、高校野球の強豪校です。


しばらく校舎を見つめていたタカハシ、
「俺、今度から、石川県は遊学館を応援するんだ……」
と一言。そうだよねえ。高校野球の贔屓って、そういうよくわからない理由から入ったりするものだよねえ。


そんなこんなで石川県の哲学巡りは幕を閉じたのでした。
面白かったー!
この鈴木大拙館と、前回の西田幾多郎記念哲学館、哲学か建築に興味がある人しか訪れなそうなマニアックなスポットですが、入場料安すぎだろうと思うくらいに楽しかったです(そして維持費大丈夫だろうかとハラハラするくらいに立派な建物だった……)。哲学者を扱いながらこうも違う建物になるかー、と見比べるのが最高面白いので、ハシゴをおすすめいたします。


◇◇◇◇◇


禅と日本文化 (岩波新書)

禅と日本文化 (岩波新書)

禅 (ちくま文庫)

禅 (ちくま文庫)

日本的霊性 (岩波文庫)

日本的霊性 (岩波文庫)

芋は無くとも犬橋は来る

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旅行記事の途中ですが、ここで犬橋です。


タカハシの実家から「芋が取れたぞ」と連絡が来ました。これはつまり「芋その他もろもろの野菜を持って、犬橋と一緒に会いに行くぞ」という意味です。ほくほくしながら待ち、犬橋に久しぶりの挨拶をしてもらい、金沢の土産を渡して、野菜の詰まったダンボール箱を受け取りました。箱の中には大量の柿とほうれん草、醤油の詰め合わせなどが入っていました。


芋は入っていませんでした。


そんなこんなで今回もたくさん犬橋の写真を撮りました。


犬橋、走る。


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人がいないのをいいことに駐車場を爆走する犬橋(と、窪橋)。


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アハハウフフ (写真を撮っているのはタカハシです)


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タカハシ「犬橋、こっちおいで! こっち!」


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タカハシ「こっち! こっち!」


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タカハシ「こっ…………」


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タカハシ「えっ犬橋さん今なんで無視したの」


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「……」


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「…………」


留守番のあとの犬橋


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「犬橋、待っててくれてありがとうね」


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「じゃ、ヨーグルト出そうか」


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「ねー」


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「じゃあ、はい、タッチ」


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(ぺろり)


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「待て」


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(クワッ)


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「はい、よし!」


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犬橋、無心で舐める


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舐める


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舐める(もう無い)

加賀で哲学を齧ってきた。<西田幾多郎記念哲学館編>

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石川県西田幾多郎記念哲学館オフィシャルサイト
http://www.nishidatetsugakukan.org/index.htm


「石川県に行くことがあったら、『ニシダキタロウ』の記念館に行きたいんだよねえ」とタカハシが言ったのは数年前。
それを聞いた窪橋の脳裏に浮かんだものを絵にするとこういうことになります。


img019キタロウ。


時は流れてこんな私も『西田幾多郎』を正しく漢字変換できるようになり、今月、晴れて石川県に遊びに行くことになりました。己の無知をカバーするべく下調べをしていたら、オフィシャルサイトのFAQにこんな箇所を見つけて大いに安堵。

Q.西田幾多郎と西田幾太郎のどちらが正しいのですか?
A.よく間違えられますが、西田幾多郎が正しいです。(後略)

Q.幾多郎のよみ方は「キタロウ」と「イクタロウ」のどちらが正しいのですか?
A.「イクタロウ」とよまれる方もいらっしゃいますが、「キタロウ」が正しいです。

よかった、わかってないの私だけじゃなかったー。
わかってなくても行っていいんだー。


◇◇◇◇◇


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「ニシダキタロウの記念館」とタカハシが呼んだ施設は、正式名称を「石川県西田幾多郎記念哲学館」といいます。西田幾多郎氏の生誕地である石川県かほく市に建っている、とても立派なたてものです。開けた小高い丘にどどーんと建っている。どどーん。設計は、どどーんと大胆なコンクリートの建造物を沢山つくられている安藤忠雄氏。どどーん。


アクセスはちょっと悪くて、旅行者が行くなら金沢駅から電車で25分+徒歩約20分、あるいは金沢市内から車で20分ほど、ということになると思います(→参照)。私たちはレンタカーで訪れたのですが、オフィシャルサイトに載っている手書き地図(参照)を見たら、駅から歩いてみたかったなあという気持ちに……。この地図、すんばらしくかわいい! おかしまるよに行ってみたいよ!!


駐車場は全部で2カ所。哲学の杜と呼ばれる前庭の前にひとつ、建物のすぐ脇にもうひとつあります。哲学の杜の「思索の道」を歩くと楽しいと聞いた我々は、前庭前で下車することにしました。


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車を降りると目の前にこれが。かほく市の願いは力強いなー。


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駐車場脇のまるさんかくしかくの組合わせで出来たような建物は、お手洗いでした。
のっけから個性的だ!


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お手洗いのすぐ脇に、「思索の道」の入り口があります。
うねうね歩きながら思索にふけるといいよという趣向のお庭です。


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一本道を歩いていくと行き止まりになってしまって、


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あっれーと思いながら行き止まりに近づくと、つづらに折れた道が現れるという。
おおお面白い。


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私たちが行ったときは、紅葉が始まりかけた頃でした。
もう少ししたらこの道全体が真っ赤になるのだろうなあ。


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道の脇に大きなクモを見つけ、夢中で写真を撮るなど。
そう、今回、私は、買ったばかりのレンズを装着しているのですよ……!
性能を試すのが嬉しくて仕方ないのですよ!!


しかし、私たちが館に到着したのは既に16時近く。
閉館時刻の17時半まで時間が無い!


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こうしてはおれぬと焦ったら、明らかに正面入り口じゃないところに出ました。
クモに夢中になって標識を見逃したようです。迫り来る夕暮れ。


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あわあわうろうろしていたら、いつのまにか入り口に到着していました。


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この哲学館は、一部が展示棟と呼ばれる有料施設(一般500円)、その他が研修棟と呼ばれる公民館的な機能を持った施設になっています。研修棟だけなら入場無料で楽しめます。


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無料施設としては例えば図書室があります。


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建物が曲がっているなら部屋も曲がってていいだろう、とでも言いたげな力強さ!


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扉には西田幾多郎の言葉が掛かっていたりする。


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やはりというかもちろんというか、哲学書中心の品揃えです。
(参考:西田幾多郎記念哲学館へ行ってきた - Togetter
かほく市で働いている人、石川県在学・在住の人には貸し出し可能とのこと。
椅子と机があるので、この場でゆっくり閲覧もできます。


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さて、受付で入場料を支払って、展示棟へ。
受付横の細い回廊が展示室へ続いています。


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回廊脇の中庭には「吾只和唱」の手水鉢。


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中庭から空を見上げる。雪が降っているところも見てみたいなあ。


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展示棟は3階建てで、1階部分が哲学史の概要のインタラクティブな展示、2階が西田哲学と西田氏に関する資料、3階が西田氏の書、というような構成になっていました。


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透明アクリル板や鏡を多用していて、とても視覚的。


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iPadを使った展示では、デカルト先生が「何のために生きるのか」を身振り手振りで熱心に教えてくれたりします。すごいや! このアプリ販売してくれたらいいのに!


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映像を映す眼鏡とヘッドホンが合体した、なんか凄そうな展示。残念ながら故障中でした。試しに覗いてみたら、エラー画面っぽいwindowsの映像が……切ない……。


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二階に行くと、西田幾多郎の処女作「善の研究」の初版本があったり、
(参考:図書カード:『善の研究』-青空文庫


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その他希少本と共に、西田哲学のキーワードをパネルでおさらいできるようになっています。この辺になると分かっている人にしか分からない内容なので、私などは、図解の中の細長いヒトの絵がトリみたいでいいなあとか思っていました。


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展示物の中で一番衝撃的だったのが、これ。地元の名士ともなると家系図が張り出されたりするんだなあ! 掲載されている一番お若いかたは平成生まれだったけど、頻繁に更新するものなんだろうか。


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順路が良く分からなくて、3階の展示を見逃したまま外に出てしまいました。
あとから気がついた。残念。


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屋外には、移築された西田幾多郎の書斎、「骨清窟」があります。


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理想の書斎を形にしたらこうなりましたー、みたいな夢のような部屋。いいなあ。


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ちなみにこの骨清窟、入ることができなかったのでガラス窓から中を覗いて見学しました。傍目には不審者そのものだ。


このへんで歩き疲れたので、喫茶室に移動しました。


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エレベーターホールには、公民館っぽく自治体の様々なポスターが。中でも信長のインパクトが凄かった! これを見たタカハシは「一向宗のお膝元でなんて過激な……世の中は変わるものだな……」などと唸っていましたが、一体いつの時代から来たつもりだね君は。


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喫茶室は見晴らしの良い2階にあります。脇の扉から外に出ると、市街が眼下に。
すっかり夕暮れたなー。


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ちょっと冷えたので昆布茶をいただきました。ドリンクメニューはすべて300円。
奥に見えるのは絵本の本棚で、こちらも貸し出し可能なようです。


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お茶をすすりながら絵本をめくり、カウンター横の置物にほっと一息つくなど。
おばあちゃんちにあったわ、こういうの。
重厚な建物の中身は、憩いの場として機能しているんだなあ。


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一服して元気になったので、この建物を象徴するスペース、ホワイエへ向かいます。
ホワイエの外側に巻き付いた階段で1階へ。


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ホワイエは、この建物を縦に貫く、コンクリートの壁に囲まれた吹き抜けの円い空間です。


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中央の椅子に座って見上げると、大きな円い天窓から空が見える。


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ここはパンフレットの説明によると「瞑想の空間」なんだそうですが、ギャラリーとして貸し出してもいて、私たちが訪れた時は介護川柳の応募作品が壁一面に展示されていました。介護の悲喜こもごもが詠み込まれた五七五に囲まれた私は心が乱れまくって、瞑想どころではなかった……。だってさあ、一つひとつが胸に迫るんだもんよう。(写真は動揺して落ち着かない窪橋)


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それにしても、どこをどう撮っても絵になる建物です。
座ってみたり見る角度を変えたり、時間めいっぱい遊びました。


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すっかり楽しんだのち、受付に戻ってオリジナルグッズを物色。黒いTシャツ(1500円、各サイズ有)を買いました。谷川俊太郎さんとお揃いだーとニヤニヤできる一品です。ニヤニヤ。*1


お会計中、受付の方とタカハシが少しやりとり。
「当館のチケットで、今なら金沢市内にあるスズキダイセツ館が無料になります*2ので、行ってみてはいかがでしょう」
「そういえばスズキダイセツも石川の人でしたね。記念館があるんですかあ」


タカハシは嬉しそうに話を聞いている。
例によって窪橋は人名を漢字変換できていない!
大丈夫か、窪橋!


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つづく!


(続き:鈴木大拙館編
http://d.hatena.ne.jp/kubohashi/20121230/p1


◇◇◇◇◇


西田幾多郎の思想 (講談社学術文庫)

西田幾多郎の思想 (講談社学術文庫)

善の研究 <全注釈> (講談社学術文庫)

善の研究 <全注釈> (講談社学術文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

*1:http://www.1101.com/poe_T/08.html

*2:西田幾多郎記念哲学館と鈴木大拙館、どちらかの入館券の半券でもう一方の館に入館できる入館相互優待を実施中。平成24年11月11日まで。急げ!

休日のブランチにぴったりなチャーハンの、あんまり美味しくない作りかた


美味しくなるはずの食材を使って美味しくないごはんを作るのは私の美意識に反するのですが、まあ、できてしまったので、事の顛末をレシピ風に書き記すことで原因を究明すると共に、食材にごめんなさいの気持ちを表し、深く反省して今後の改善の糧としたいと思います。糧にしたいと思います。ごはんだけに。


◇◇◇◇◇


1.
材料を用意します。休日のおうちごはんと言えば「冷蔵庫の余った食材で適当に」というのがデキる人っぽい言い回しなので、その方向を目指します。今回は、冷やご飯軽く1膳、卵1コ、納豆1パック、ピーマン2コを用意。


2.
卵かけご飯を作っておきます。「料理初心者がぱらぱらチャーハンを作るにはあらかじめ卵かけご飯を作るのがいい」とどこかで聞いてから、馬鹿正直に毎回卵かけご飯を作っています。一体何をもって料理初心者から卒業できるのかが長年の疑問。卒業したら何になるのかも長年の疑問。初心者の次は中級者なのかな。料理中級者って何だ。ともあれ、ピーマンは小さめの角切りに。納豆は混ぜてほぐしておきます。


3.
大きいフライパンを出してくるのが億劫なので、手近にあった明らかに小さいフライパンを用意します。


4.
油を敷きます。フライパンにうっかりどぼっと出してしまい、「あ……」と言います。けだるい休日なので、驚く声もやる気に欠けます。そして、まあいっかー、と思います。


5.
ピーマンと納豆を炒めます。


6.
ピーマンに良い感じに火が通ったこのタイミングで、「そうだ、しめじもそろそろ使わなきゃ」と思い出します。


7.
よせばいいのにしめじ投入。火が通っている食材を別の皿に移すような細やかさはないので、ピーマンのシャキシャキ感がみるみる消えて無くなります。


8.
卵かけご飯投入。お玉やフライ返しなどの幅広いものでご飯の塊を潰すように炒めると美味しくできるんですよね。知ってるよ。知ってる知ってる。しかし洗い物を増やしたくないあまり、頑なに菜箸で炒めます。


9.
納豆に付いていたタレを鍋肌に垂らしかけ、「香り付け……ふふ……」と悦に入ります。


10.
フライパンの小ささが効いて火の通りが遅く、見た目にもぺしゃっとできあがります。


11.
お皿に盛りつけます。立体的に、せめて、おいしそうに。


12.
盛りつけ終わったタイミングで、塩胡椒を入れ忘れたことを思い出して落ち込みます。けだるい休日なので、落ち込みかたも真剣味に欠けます。


13.
塩胡椒を食卓に用意します。あとから振りかけてもそう変わらんだろう、と思い込むことで、落ち込む自分の心に折り合いを付けます。


14.
ランチョンマット選びを面倒がって、手近にあった明らかに食欲減退しそうな水色を使います。


できあがり。


炒飯


これだけ酷い作り方をしてもそれなりに仕上がってくれるチャーハンにありがとうをいいながら頂きました。
ありがとうチャーハン。
偉大だなあチャーハン。
ごめんよ、食材。

国立科学博物館特別展「元素のふしぎ」にいってきた。

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上野の国立科学博物館がこの夏ぶつけてきた特別展が
「元素のふしぎ」展だ!
去年の恐竜博、一昨年の大哺乳類展に比べると
渋いところを突いてきたなあという印象のこの展示、つい先日見に行ってきました。
情報酔いしそうなくらい盛りだくさんな展示でしたよー。


◆特別展「元素のふしぎ」◆
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2012/genso/
国立科学博物館サイト内公式ページ)
http://www.tbs.co.jp/genso-ten/
(TBSテレビ 公式ページ)


夏が終わって秋に突入してから行くのが私の私たるところです。
開催日が残り3日になってからブログに上げるのが私クオリティです。
10月8日(月)で終わってしまうので、気になっている人はお見逃しなく。


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夏休みは混んでいたのでしょうが、
私が行った日の入り口はこんな感じの空き具合。わあい。


対して、お隣で絶賛開催中のツタンカーメン展
行列も絶賛増量中でそら恐ろしい状況でした。
科博への道すがら前を通ってきましたが、
あんなに混雑している上野の森美術館は初めて見ましたよ……。
スタッフ待機用のプレハブ小屋までできてた。うひー。



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会場に入ると、すぐ目の前にばばーんと周期表が。
周期表ってすっきりしすぎていて、
これが世界を構成するすべてです、と言われても
実感が伴わなくてぽかーんとしてしまうねー。


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しかしこの展示のキャッチコピーは
「世界のすべては、元素でできている。」なので、
ここからこう「いかに世界のすべてが元素か」っちゅうのを見せてくれるわけですよ!


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導入部は、身近なものから。


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「空を構成する元素」で植物を持ってくるセンス。


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標準平均海水。
「標準」の魅力については、いつかてつるさんが書いていたっけなあ*1


この最初のエリアで、元素についての網羅的な話が展示されていました。
ビッグバンがどうのというところから始まって、
同位体がどうの、とか。
周期表の成り立ち、とか。


電子雲をガラス内に彫刻した三次元の模型の展示がきれいでうっとりしたり。


◆電子雲3次元ガラス彫刻模型 NEBULA(ネビュラ)
http://winmostar.com/nebula/cover_page.html



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こちらは元素があしらわれた世界の切手コレクション。
切手コレクターって凄いなあと思っていたら、
協力者一覧に「化学切手同好会」という団体名を見つけて、
細分化されまくった切手収集事情に改めて慄くなど。


◆化学切手同好会
http://www3.tokai.or.jp/smallmiracle/


見よ、この深い愛……!



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さて。
序盤の通路を抜けると、広いフロアに到着します。

ここからが、今回の展示の目玉、「立体元素図鑑」です!
たかさんの記事*2で読んでから、ここを見るのが楽しみだったんだあ。


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壁沿いにこんなパネルがあって、
原子番号1番の水素さんからずらっとそれぞれの特徴が紹介されています。
記載されている情報は、元素名、原子番号、記号、電子配置図、主な特徴、主な用途、原子量、沸点、融点、太陽系存在量、地殻、発見年、発見者、元素名の由来、元素単体、主な製品の実物などなど。などなどなどなど。
確かに、図鑑だ。
恐ろしい情報量だ。
これだけ色々あると、楽しみ方も十人十色になりますね。


一人の少年は元素名を片っ端から音読するという楽しみ方をしていました。
必殺技的なポーズ付きで。わかるわかる。かっこいいよね、元素名ってね。
ウムウムしててね。


デートで来ていたらしいカップルは、化学っ子な彼が門外漢な彼女に全力でレクチャーしていて、リア充爆発しろと言うに相応しい雰囲気をびしばし醸し出ており大変初々しかったです。爆発しろ。*3


タカハシは、元素名の由来をひたすら追い続けるという遊びをしていました。
「重いという意味の単語から、ってあるけど、重い元素は他にもあるよね……」
とか呟いてました。そうだね。他にもいっぱいあるね。



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ものの分かったひとがひゃっほう! する逸品、
世界最大級の多結晶シリコン板。


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こちらは超高純度シリコン単結晶。
今展示、三菱マテリアルさんの名前をそこここで。


私はこのへんのすごさを理解する素養がないので、
自分の生活に結びついた製品を見つけては
「ほほうこれがこの元素の!」と喜ぶという楽しみ方をしました。
これがまた大がかりでとても楽しいんだわ。


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ヘリウムといえば飛行船!


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ネオンといえばネオン!


うおお素人目にもわかりやすい。


酸素のブースのあたりの大型画面では
元素にまつわる実験の映像が流れていて、
老若男女が釘付けになっておりました。
水に入れたり、火を付けたり、
教育テレビの理科の番組で見たことがあるような
シンプルな実験の数々がとっても面白かった。


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身近な応用製品の一例にはこんなものも。
科博の展示でアテニアを見るとは思わんかったなあ。


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科博の展示でクレ・ド・ポー ボーデを見るとは思わんかったなあ。


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体験型展示では元素の重さの違いを体感したり。
金、重い。鈍器。


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テーマ展示のブースも各処に。


光をテーマにしたブースでは、使っている元素が違う放電管が数種類並んでいて、光をスペクトル分解して見せてくれたりしました。きれいだったー!


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こちらは、元素の発色の違いを画材で確認するコーナー。
日本画代表は尾形光琳紅白梅図屏風


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洋画代表はフェルメール
色彩の話になるとフェルメールが出てくるのはもはや定番なんですねえ。


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ホルベインだー、と知っている名前に嬉しくなったり。


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焼物の絵付に使われる元素の紹介は、
色見本の小皿がとにかくかわいかった……!


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ほらかわいい!
元素記号の素っ気ないフォントがとてもよい。
うちの醤油皿にしたい!


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展示も終わりに近づくと、
実生活とはあまり縁のない元素たちに。


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各所で話題を呼んだ「研究上の興味だけで、用途はない」の羅列はこれかァー!
なんて身も蓋もない言い回し!


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こっちは更に身も蓋もない。
笑いながら撮ったのでぶれぶれ写真に。


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用途のないフランシウムさん。



立体元素図鑑の最後には、
理化学研究所ウンウントリウムの最新の成果がパネルと映像で紹介されていました。


◆新発見の113番元素|理化学研究所(2004年のプレスリリース)
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2004/040928_2/index.html

◆3個目の113番元素の合成を新たな崩壊経路で確認|理化学研究所(今年9月の記事)
http://www.nishina.riken.jp/news/2012/20120927.html

◆うん…うん… と りうむ | BLOG 未来館のひと(日本科学未来館ブログによる解説)
http://blog.miraikan.jst.go.jp/other/2012100419174


会場内で行われていた「みんなの好きな元素」の人気投票でも、ウンウントリウムは上位に。
あつい、あついぞ、ウンウントリウム
ウンウントリウムは仮の名で、発見者が確定したらその方々に命名権が与えられるんだそうで、理研命名権を得ることができるのか、どんな名前になるのか、とても楽しみです。
ウンウントリウムって無駄に声に出したくなるなあ。


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とはいえ、橋族の窪橋としましては、
ハッシウムをえこひいきしていく所存。



世界で一番美しい元素図鑑

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元素生活 Wonderful Life With The ELEMENTS

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えれめんトランプ

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